バラハタって食べていいの?海洋生物学者に聞いてみた結果

テレビで有毒魚として放送されていたバラハタについて、海洋生物学者さんの意見を聞いてきました。沖縄県民は普通に食べている風な話でしたが、ナガジャーミーバイ(バラハタ)は正しい知識を持った上での自己責任で食べられる魚です。

余震が続く熊本県のことが心配です。ぼくが運営しているオンラインサロンのメンバーさんにも熊本在住の方がいらっしゃって、お話を聞くと、家は危ないから車と庭でキャンプされているのだそう。Facebookで無事だということを知ったので安心しましたが、今回の余震強すぎませんか?夜に多いし寝られないでしょう。大変だと思いますが、とにかく無事を祈るだけしかできません。

テレビで紹介されていた毒魚「バラハタ」

「バラハタは沖縄で普通に売られているんです。」

「よく手に入ったねソレ」

「沖縄から直送で送ってもらいました」

テレビでも、ネットでも「沖縄普通に食べてるんだ」みたいに思われても仕方ない報道がされていましたね。釣り好きの友人に聞いたら「うーん・・・美味しいけどね。黒いのは食べたらダメだね。」って言ってました。

ヒガ「バラハタは方言でナガジューミーバイのことです。ミーバイにはいろんな種類がありますが、ハタ類のことなのでミーバイって言えば結婚式の披露宴などによく出される刺身だよね」

親戚が集まった時に「ミーバイの刺身あるよ」って言ったら、多分10秒でテーブルからなくなる。それくらい美味しい魚です。ナガジューミーバイは初めて知ったけど、ミーバイ類なら沖縄で普通に食べられてるのも納得できます。

ということで知人の海洋生物学者さんに聞いてきました。

海洋生物学者さんに聞いてみた

ヒガ「こんにちは宮崎さん」

海洋生物学者:宮崎悠
登場人物A
昆虫少年から始まり、小・中・高とテレビゲームも恋愛もせず、熱帯魚飼育や釣りに思春期の時間のおおかたを費やす。

そして気づけば琉球大学の学部・大学院に進学、八放サンゴ(ソフトコーラル)の分類・系統について研究をおこなう。2015年に自ら発見した八放サンゴを新属・新種として記載。

かたわら、小・中・高校の修学旅行生を対象にした、サンゴ礁の環境を利用した環境学習プログラムの企画開発・実施におよそ7年間にわたって携わる。生き物、カメラオタク。好きな音楽はジャズ。

1985年生まれ。神奈川県出身。博士(理学)
2015年に琉球大学大学院 理工学研究科 博士後期課程を修了。

ネイチャーツアー&教育の「Curious Okinawa」

 

ヒガ「えーっと早速ですけどバラハタ(ナガジューミーバイ)って食べれるんですか?」

宮崎さん

あくまでも個人の見解ですが「当たってもいいから食べてみるか〜」という自己責任においては問題ないと思います。

ヒガ「沖縄では普通に食べられているんですか?」

宮崎さん

一般に流通する量は非常に少ないですが、正しい知識を持っている漁師さんの間では美味しい魚として知られています。

テレビでは中華料理店が6名のお客さんに料理として提供したそうですね。バラハタが毒魚として報道されたことに疑問を感じた人も多いでしょう。基本的には正しい知識と、さばき方を知っていれば、大変美味しい魚として知られています。

バラハタの味はどうなの?

ヒガ「ちなみに召し上がったことは?」

宮崎さん

ありますよ。刺身で頂きました。相当美味しかったです。

宮崎さんはバラハタを刺身で頂いたことがあるそうです。そんなに大量に食べたわけじゃないそうですが、その時は食中毒の症状は出ず、普通に美味しく食べられたそうです。

ミーバイ類なので、絶対美味しいですよね。あぁアカジンミーバイ食べたい。

バラハタだけじゃないんだよね。問題はシガテラ

ヒガ「バラハタを食べると食中毒になると放送されてたけど、それって本当なの?」

宮崎さん

テレビでは単に食中毒と言ってましたけど、その病名は【シガテラ】と言って、シガトキシンという藻類(正確には渦鞭毛藻の一種)が作る毒が原因物質です。この毒が藻類→草食魚→肉食魚と食物連鎖の中で濃縮され、その魚を人間が食べることで発症します。

ヒガ「なんかグルメ細胞みたいな話になってきた。つまりバラハタを食べると発症しちゃうってことですか?」

宮崎さん

ただ可能性があるってことですね。バラハタ=毒魚ってことではないです。ちなみにバラハタではないですが、バラフエダイというシガテラ毒魚として有名な魚を食べて(実験的に)当たりました。ハハハ。

宮崎さんの場合は、魚類専門の研究者たちが集まった時「当たるかどうか食べてみよう」ということで「バラフエダイ」というシガテラ毒魚を食べて当たったそうです。バラハタではないですが、同じシガテラ毒を摂取している魚だそうですね。

バラハタ=有毒魚という構図ではなく、シガテラ毒を体内に持っている可能性のある魚という見解が正しいみたいですね。

どんな症状が出るの?

ヒガ「えっ?シガテラ毒に当たったんですか?」

宮崎さん

シガテラにかかると、かゆみ、手足の痛みなど色んな症状が出て、ドライアイスセンセーションという温度感覚の異常症状が出る場合もあります。ちなみに私は軽いドライアイスセンセーションを経験しています。

ヒガ「ドライアイスセンセーション?」

宮崎さん

症状は冷たい水を触るとピリピリと刺激を感じるもので、ひどい時には水で手を洗うことすら難しかったです。

ヒガ「大変な話でしょソレ」

なんかサラッとお話しされてますけど、シガテラにかかると色々な症状が出るみたいですね。代表的なのがかゆみ、手足の痛み、しびれなど。宮崎さんの場合は「ドライアイスセンセーション」という温度感覚の異常症状が表れたそうです。

症状はどのくらい続くの?

宮崎さん

その状態が数ヶ月〜1年は続きます!

ヒガ「1年も?ヤバイじゃないすか」

宮崎さん

幸い私は冷水機から水を呑んだら若干ピリピリする程度でしたけどね。ハハハ。

ヒガ「笑ってる・・・」

シガテラ食中毒を起こすと、数ヶ月から1年ぐらい症状が続くそうです。「沖縄では食べられてるらしいから大丈夫だよ」って安易に食べてしまう代償としては、長すぎますよね。

興味半分で食べる際は自己責任にてお願いします。

黒い斑点があるバラハタは当たるそうですが?

テレビでは黒いバラハタを食べたら当たるみたいな報道がされてましたけど、それって本当ですか?

宮崎さん

一応、科学的根拠はありません。

ヒガ「ネットではヤクザ(毒の餌を食べ続けた魚)は黒っぽいからそれを食べなければ大丈夫。みたいな話があります」

宮崎さん

昔はうみんちゅには「漁に出られなくなる」と恐れられていたそうですが、重くても死ぬことはないですね。ただやっぱり漁師さんの経験や、正しい知識を持ってしても自己責任で食べてもらうことが前提です。

なるほど、テレビで紹介されていた「黒い斑点があるバラハタを食べなければ大丈夫」という話は、断片的な情報でしかなかったんですね。ふぐなどの有毒魚同様に、正しい知識を持っている人が食べる分には問題ないそうです。

食品衛生法第6条

ヒガ「美味しくて、毒も少ないのなら食べてみたいんですが」

宮崎さん

バラハタを含むシガテラを起こすリスクの高い数魚種は、食品衛生法第6条に引っかかるので販売しないようにと通達されていますからね。基本的には一般に流通はしないはずです。

食品衛生法第6条に引っかかるということで、検索してみたら食品安全委員会がファクトシートを公開していました。

日本におけるシガテラは、平成元年~22年の間に、毎年1~8件、合計78件の届出がなされています。
原因魚種は、バラハタ(16 件)が最も多く、次いでイッテンフエダイ(12 件)、バラフエダイ(11 件)となっていま
す。また、発生都道府県は、沖縄(70 件)が最も多く、次いで鹿児島(3 件)となっています。近年は、これまで
に例のなかった本州沿岸で採捕された魚類が原因のシガテラが発生しています。これらの魚類のほとん
どは肉食魚で、藻食魚によるシガテラの発生はまれです。
厚生労働省は、シガテラ毒を含むおそれのある魚類のうち、オニカマス(ドクカマス)の販売を禁止して
います。さらに、シガテラの原因となっている可能性が高いと指定した魚類について、魚種鑑別の検査な
どを行い、外国から輸入されないようにしています。また、一部の自治体では、対象魚を決めて販売自粛
などの指導を行っています。
引用元:factsheets_ciguatera_131216.pdf

沖縄70件ってダントツすぎ。それでも食べたいって思うほど美味しいのかな。そういうリスクのある魚ですよってことですね。

https://youtu.be/YhsWV_KhEMA

画像:RBC THE NEWS「「バラハタ」で2人が食中毒」2016/04/13 – YouTube

販売してしまった店舗は沖縄県でも行政処分が下されます。

ヒガ「築地市場で出回ってしまったって話だけで、過剰な報道がされてしまった感がありますね。まぁいまどきテレビ情報を鵜呑みにする人いないでしょ。えっいるの?」

大変貴重なことを教えてもらいました。

宮崎さん

仲間内で釣ったバラハタを「当たってもいいから食ってみるか」っていうのはアリだと思いますが、流通に乗せていい魚ではありませんね。

ヒガ「なるほど、勉強になりました。宮崎さんありがとうございました」

宮崎さんは現在沖縄本島内でエコツーリズムを提供する「ネイチャーツアー&教育の「Curious Okinawa」」のスタッフとして活躍しています。本気のカメラオタクでぼくも写真を教えてもらっています。

世界的に見ても貴重すぎる沖縄の自然をよくあるエコツアーではなくて、ガチの生き物博士(学位的にも)がガイドを務めるエコツアーはまじで貴重。

しかもプロレベルの写真とか・・・。沖縄の自然をプロレベルの写真で伝えながら、しかもガチの博士。最強すぎて絶対楽しいこと間違いなしですね。

詳細はこちら
ネイチャーツアー&教育の「Curious Okinawa」

まとめ

テレビの情報だけでは分からなかったことがよく分かりました。バラハタはデータにも出ている通り、シガテラ食中毒を起こす可能性があります。そのため一般には流通されないけど、なぜかオキナワではよく食べられている。

海洋生物学者の宮崎さんのように正しい知識を持っている人でも、シガテラ食中毒を起こす可能性があり、自己責任においては食べても問題ないということ。

それに大変美味しいらしいので、やっぱり毒魚として報道されることに心を痛めている人も少なからずいるってことですね。

ヒガ「ミーバイなら・・・刺身の一切れぐらい食べてみたい」

あくまでも自己責任でね。

  • この記事を書いた人

比嘉研仁(ヒガシーサー)

沖縄在住2児の父。長男が産まれる前に脱サラして夫婦で子育てセミリタイアを実践。趣味のカメラとブログを通じて、家族の思い出を「良い写真」と「テーマを絞ったフォトブック」にすることで一生の宝になることを実感しています。電子書籍「いいねを呼び込むiPhoneコンデジ写真術」は一眼カメラじゃなくても家族の思い出を美しく残せる教科書としてAmazonジャンルベストセラーにも輝きました。ブログでは、スマートフォンやカメラを使って家族の思い出を、テクニックやアイデアを交えながらフォトブックや写真に残す方法を紹介しています。