カメラの世界では【撮像素子の大きさ】によって価格と性能がある程度決まります。2017年12月現在で主流の撮像素子は中判、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ、1インチなどがあります。


一眼レフの場合はフルサイズ、APS-Cが主流であり、ミラーレスカメラは中判から1インチまで幅広いラインナップとなっています。
撮像素子の大きさを比べてみよう(センサーサイズ)

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現在のカメラ市場で主流のセンサーサイズを並べてみました。
撮像素子の種類 | サイズ | メーカー・機種など |
中判 | 44mm×33mm | FUJIFILM GFXシリーズ、PENTAX 645Z |
フルサイズ | 36mm×24mm | Canon、Nikon、PENTAX、SONY |
APS-C | 23mm×15mm前後 | Canon、Nikon、PENTAX、SONY、FUJIFILM |
マイクロフォーサーズ | 17.3mm×13mm | OLYMPUS、Panasonic(LUMIX) |
1インチ | 13.2mm×8.8mm | Nikon、SONY、Canon |
1/2.3 | 6.2mm×4.6 | スマートフォン、低価格コンデジなど |
中盤から1/2.3型まで幅広いセンサーサイズのカメラが登場していますね。この中から初心者さんが最適なセンサーサイズに出会うのは至難の業です。
難しい専門用語が並んでしまいますが、この【撮像素子の大きさ】は長い間【大きいほうが性能が高い】とされていました。
もちろん今でも【大きい撮像素子(センサーサイズ)】のほうがカメラの限界値が高くなるので写真を撮影するうえで有利に働くことも多いでしょう。
そのためカメラの世界には「いつかはフルサイズ」という言葉があり、大きなセンサーサイズを採用するカメラは憧れでした。




写真は光を取り込んで撮影した被写体をデジタルに残します。なぜ大きなセンサーサイズが有利かというと、大きいほど沢山の光を素早く取り込むことができるからです。
取り込める光の量が多ければ、暗い場所でも早いシャッタースピードで撮影できたり、色の表現がキレイに出しやすく、暗い場所や明るい場所のディティールも表現しやすくなり、美しい写真を撮りやすくなります。


最近はフルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ、1インチのセンサーを採用するカメラでも2000万画素を超えるようになりました。
これはカメラメーカーさんの努力によって実現できたテクノロジーの進歩ですが、画素数が増えると1画素辺りの面積が小さくなるので【高画素=きれいな写真】になるわけではありません。


その点についても後述しますので、もし興味がございましたら読み進めてくださいね。
中判カメラの用途
中判カメラは主にフォトグラフィースタジオで使われていて、広告写真を取り扱う商業向けです。デジタルカメラの中では最大級の撮像素子サイズであり、価格も高価です。
ミラーレスカメラのフジフイルム GFX 50S、一眼レフのPENTAX 645Z などがあります。
FUJIFILMは今後力を入れていくことが発表されているので、もっと一般的に使いやすい中判カメラが出てくる可能性もありますが、まだまだ一般向けではありません。
フルサイズカメラの用途

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フルサイズセンサーを採用するカメラは一眼レフ、ミラーレス、コンデジにあります。プロ向けの機材から、初心者でも扱いやすい機材まで幅広いラインナップとなっていますね。フルサイズセンサー搭載カメラは以下のようなメリットがあります。
フルサイズカメラのメリット

- 暗い場所でもキレイに写真が撮りやすい。
- ボケ表現を得やすい。
フルサイズカメラのデメリット
- レンズ・本体共に重く大きい
- レンズ・本体共に価格が高い
- APS-Cと比べて撮れる写真に大きな差があるわけではない


ミラーレスのフルサイズカメラはどうなの?
以前までAF精度や速度にうんぬん云われてましたが、2017年に登場したα9やα7RIIIの登場で【高速AFや精度の高いAFを求めるなら一眼レフ】というのは過去のものになりました。
今までスポーツカメラやプロフェッショナル市場ではCanonとNikonの2大メーカーが独占していましたが、SONYもこの市場に堂々と名乗り出ています。
いままでは私も興味なかったフルサイズミラーレスですが2019年に EOS RP を購入して楽しんで使っています。AFの進化、ボディとレンズの軽量化が進んでいるので、カメラ素人の私でも使いやすいです。
参考記事:気付いたら1年以上使っている。EOS RP はそんなカメラになる気がするレビュー
APS-Cカメラの用途
ハイアマチュア向け、初心者向けラインナップが豊富なAPS-Cサイズのカメラ。多くの一眼レフ初心者さんはAPS-Cサイズのカメラから楽しむのが主流です。APS-Cサイズのカメラを選ぶメリットは以下の様なものがあります。
APS-Cサイズのメリット
- 安価で写りが良いレンズが多い
- フルサイズと比べて高倍率ズームレンズや望遠ズームレンズが豊富で安い
- エントリークラスや価格が安いモデルが多い
APS-Cサイズのデメリット
- いつかはフルサイズが欲しくなる時期がくる
- 一眼レフの場合は機種が多く迷いやすい



APS-Cサイズのオススメカメラ
センサーサイズで写真が変わるということはありませんので、コスパに優れたAPS-Cサイズ機種から始めるというのは写真を趣味にするスタートラインとしては理想的です。
Canon、Nikonの一眼レフであればレンズも豊富で、安くて写りが素晴らしい交換レンズも揃っています。
ミラーレスであれば高価格路線のSONYα6500、色彩表現が美しいFUJIFILM、2017年から本気を出してきたCanonの3メーカーが火花を散らしています。
どちらのメーカーも特徴がはっきりしていて、スペックで選ぶならSONY、画質で選ぶならFUJIFILM。Canonはまだ立ち位置がはっきりしていませんが、EOSM5の登場で本気出してきたなーという印象があります。
ミラーレスのAPS-C市場はまだまだ発展途上なのでレンズラインナップも少なめで高価ですが、初心者さんにオススメしたいカメラは以下の機種です。
レビュー記事:EOS Kiss M 本音レビュー!M5やライバル機種との違いはどこにあるのか
レビュー記事:フジフイルムのミラーレスってどう?X-Pro2 の圧倒的な魅力とは?
レビュー記事:EOS Kiss X8 が登場しても X7 を買うべき5つの理由とは?本音レビュー付き
マイクロフォーサーズの用途

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オリンパスとパナソニックのミラーレスカメラはマイクロフォーサーズを採用しています。


フルサイズやAPS-Cサイズに比べると小さなセンサーサイズとなるマイクロフォーサーズ。いわゆる広告写真のような商業向けではありませんが、プロ写真家と言われる方々でマイクロフォーサーズを愛用している方も多いです。
またレンズ小型化、カメラ本体小型化の恩恵は大きくて、初心者さんや素人にとって理想的なカメラになることも多い。ヒガシーサーは特に Panasonic LUMIX のカメラが使いやすくて愛用しています。

超広角レンズでこの小ささはすごい。
レビュー記事:LUMIX 超広角 神レンズ 7-14mm レビュー!GX7MK2との組み合わせが最高すぎた
子どもたちの運動会やサーフィンの撮影。超広角、望遠、高倍率ズームレンズが必要な場面に遭遇するとマイクロフォーサーズ最高だなって思っています。

ミラーレス市場では最も歴史が長く、レンズラインナップも豊富でオリンパスとパナソニックで使用できるレンズは共用もできます。
こうした規格を採用しているカメラメーカーは他にありません。
安価で写りが良いレンズも揃っているので、大きなセンサーサイズや高画素が必要ないという方はマイクロフォーサーズ規格のカメラを選ぶことで幸せになれるでしょう。おすすめカメラは以下の機種です。
メリットは以下のようなものがあります。
マイクロフォーサーズのメリット
- レンズ、本体が小さくて軽い
- 安価なレンズやボディが豊富
- オリンパスとパナソニックでレンズの共用ができる
- 高倍率ズームレンズや望遠レンズが小さくて軽い
マイクロフォーサーズのデメリット
- フルサイズと比べて暗い場所の撮影がちょっと苦手(感度の関係)
- フルサイズと比べてボケ表現が弱い
- 中古市場で人気がない
- 手が大きいヒトにとっては使いにくい
マイクロフォーサーズのオススメカメラ
エントリークラスからプロ向けのカメラまで幅広くラインナップされているマイクロフォーサーズ規格。価格、性能、今後のステップアップまでを考えてオススメしたいカメラは以下の機種です。
1インチセンサーの用途

LX9 photo by higashisa
ミラーレス市場では唯一1インチセンサーを採用している Nikon 1 シリーズがありますが、今後の見通しが不透明なのでいまからニコワンを選ぶことはオススメできません(非常に優れたシステムだったけど)。
現時点で1インチセンサーの主流は高級コンデジ市場です。
SONYのRXシリーズ、Canon PowerShot G7、Panasonic LUMIX LX9などがあり、スマホに押されているコンデジ市場の中で唯一活気があります。
またネオ一眼と言われる超高倍率ズームレンズを搭載したカメラも多く、用途によっては一眼レフでは撮影できない写真や動画を撮ることもできます。
1インチのレンズ交換型(ニコワン)にしろ、レンズ一体型(コンデジ、ネオ一眼)にしろ、このセンサーサイズを選ぶ理由は携帯性です。
1インチセンサーのメリット
- ポケットに入れて持ち運べる
- 写真の撮り方を知っていれば一眼カメラと遜色ない写真と動画が撮れる
- 旅行に最適
1インチセンサーのデメリット
- ヒトと接する仕事では使えない
- レンズの焦点距離が短い機種が多い
- iPhone X や Google Pixle2 の登場で未来が危うい
子連れの私にとってポケットに入れて持ち運べるメリットは大きい。主観で申し訳ないけれど、一眼カメラは子連れには向きません。
じゃあスマホでいいかというと、そうでもありません。暗い場所でのテーブルフォトやここぞというときの写真はやはり1インチコンデジのほうが有利なことが多いです。
【一眼では実現できない携帯性、スマホで撮影できない写真が撮れること】が1インチ市場のメリットだと思います。以下は現在のオススメ1型カメラです。
参考記事:LUMIX LX9 レビュー 作例多数!最高にちょうどいいブロガーコンデジ
1インチ以下のセンサーサイズ

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スマートフォン用のカメラ、低価格コンデジ、アクションカメラなどは1インチよりも小さなセンサーサイズを採用している機種がほとんどです。
現在主流になっているのは【スマートフォン】と【アクションカメラ】の2種類です。
私はいま iPhone X と GoPro HERO6 を愛用していますが、センサーサイズが小さいとは言えテクノロジーの進化のおかげで素晴らしい写真と動画が撮れることを実感しています。
ウェブ上にアップしたり、フォトブックを作るぐらいの用途であればスマホ写真で十分なことがほとんどです。
今後はいくつもの複数レンズ、複数センサーを搭載したコンデジやスマホが登場し、センサーサイズが小さいデメリットをテクノロジーで解決できる製品がどんどん出てきます。
すでに海外では Light16 という16個のレンズとセンサーを搭載したポケットサイズのカメラが登場し、写真を合成することでフルサイズ並の写真を撮ることもできてます。
こうした背景とテクノロジーの進化があるので、センサーサイズの大きさでカメラを選ぶことがいかに時代遅れな選び方なのかを知ったと思います。
レビュー記事:GoPro HERO 6 レビュー Session の体験比較まとめ!3日で水没紛失したエピソード付き – ヒガシーサーのカメラ沼
関連記事:Light L16 センサーを足し算するという発想が魅力的なコンデジ – ヒガシーサーのカメラ沼
センサーサイズについてのまとめ
カメラの世界にはセンサーサイズという規格があり、昔から【いつかはフルサイズ】と言われてきました。
しかし、人それぞれ写真の用途やライフスタイルがある通り、誰でもフルサイズカメラを扱えば幸せということはありません。
私に限って言えば【マイクロフォーサーズ】が最適であり、最も良く使うのは【iPhone】と【コンデジ】です。
今後もし子どもたちがプロバスケットボールプレーヤーや、音楽界の発表会に参加するようになればフルサイズカメラを検討するかもしれません。
でも、その頃にはもっと技術革新が進んでいるはずなので、ますますフルサイズを扱うメリットは少なくなっていく用に感じます。





