「思いきってミラーレスを買ったのに、気づけば防湿庫の肥やしになっている」——そんな後悔の声は、検索してみると驚くほど多く見つかります。この記事は、そのつまずきを買う前に避けるための一枚です。
私はフルサイズのEOS RPとEOS R6を使ったうえで、いまはAPS-Cのα6700に戻して3年目です。その前もメーカーをいくつも渡り歩き、そのたびに手持ちのレンズを売ってきました。
下に挙げる8つのうち、2番と8番は私がやった失敗、4番と7番はいまも引きずっているものです。残りは、周りで見てきたものと、自分がどう避けているかを書きます。すでに買って後悔している人向けのリカバリーも後半に置きました。
目次
ミラーレスで後悔しやすい8つのパターン(先にまとめ)
- 本体は安く見えても「レンズ沼」で総額が膨らむ
- フルサイズに憧れて買い、重さで持ち出さなくなる
- バッテリーの持ちを一眼レフの感覚で見積もる
- ボディ内手ブレ補正なしの機種を、知らずに選ぶ
- AF・連写不足で、動くわが子が撮れない
- 結局スマホで十分だった
- 新品フルセットで買い、型落ち・中古で良かったと気づく
- メーカー(マウント)を乗り換えて、レンズ資産をまるごと失う
自分に当てはまりそうな番号から読んでもかまいません。多くの後悔は「性能の不満」ではなく「買う前の想定が甘かった」ことに原因があります。逆に言えば、想定を先に潰しておけば大半は避けられます。まだ「スマホの次の一台」で迷っている段階なら、いきなり大きなミラーレスの前に、高画質コンパクトカメラで一歩先を体験する手もあります。
落とし穴1|レンズ沼で総額が膨らみ「こんなはずでは」と後悔する
ミラーレスで最も多い誤算がこれです。ボディの価格だけを見て予算を組むと、あとから「明るい単焦点が欲しい」「望遠も」とレンズが増え、気づけばボディの何倍もの金額になります。レンズは資産として長く使える一方、最初に総額の天井を決めておかないと出費が止まりません。
回避策:買う前に「ボディ+レンズ2本まで、総額いくらまで」と上限を決めておく。まずは標準ズーム1本で運用し、不満が出た1点(暗所なら明るい単焦点、運動会なら望遠)だけを買い足す。最初からフルセットを揃えないことが、レンズ沼のいちばんの予防になります。
私自身、いまのα6700で常用しているレンズは2本だけです。Sigma 18-50mm F2.8 を普段用に、Tamron 18-300mm を運動会や旅行に。この2本で、家族・旅行・行事という自分の撮影範囲はひととおり足りています。ボディを何台も替えてきたわりに、手元に置いているレンズはこの本数です。
落とし穴2|フルサイズに憧れて買い、重さで後悔する
「どうせ買うならフルサイズ」という判断は、画質の面では正解でも、携行性で後悔しやすい選択です。フルサイズはボディもレンズも大きく重く、日常の散歩や旅行でカバンに入れるのが億劫になりがちです。カメラがどれだけ高性能でも、持ち出さなかった日の写真は1枚も残りません。
これは私がやった失敗です。EOS RPもEOS R6も評判どおり良いカメラでしたが、家族の荷物と一緒に一日持ち歩く場面では、レンズを含めた総重量がじわじわ効いてきました。結局いまはAPS-Cのα6700に戻して3年目です。「フルサイズでなければ撮れなかった」という場面は、私の撮影範囲では一度もありません。この判断の中身はフルサイズとAPS-Cの比較で、画素ピッチとシステム総重量を実数にして書きました。
回避策:「毎日持ち歩けるか」を最優先の基準に置くなら、APS-Cや高級コンパクトのほうが後悔しにくい。センサーサイズの数値より、実際にカバンへ入れて出かける頻度で選びます。軽さ重視なら、高画質コンパクトカメラという選択肢も現実的です。特に子育て世代は、軽さがそのまま「撮れた枚数」に直結します。
落とし穴3|バッテリー切れで「肝心の場面が撮れない」後悔
ミラーレスは常時センサーとEVF(電子ビューファインダー)に給電するため、構造上、光学ファインダーの一眼レフよりバッテリーの減りが早い傾向があります。運動会や旅行で「昼過ぎに電池切れ」となると、後悔というより実害です。
回避策:予備バッテリーを最低1個、イベント用途なら2個。モバイルバッテリーからのUSB給電(USB PD)に対応した機種かどうかも確認しておく。カタログの撮影可能枚数はCIPAという共通規格での測定値で、撮り方によって実際の枚数は上にも下にも振れます。数字そのものより、電池を足せる構造かどうかを見るほうが確実です。
私がα6700で唯一の弱点だと感じているのが、まさにここです。とくに10bit(色の階調を細かく記録する設定)やLog(あとから色を調整する前提の記録方式)で動画を回すと減りが早い。
ただしα6700はUSB PD対応のモバイルバッテリーにつなげます。十分な出力の電源なら、撮影しながらの給電もできます(ソニー公式のヘルプガイドに記載があります)。つまり電源を1つ足せば実用上ほぼ消える弱点です。買う前に「電池を足せる機種かどうか」を見ておけば、ここは後悔になりません。
落とし穴4|ボディ内手ブレ補正なしを知らずに選ぶ|写真は平気、動画で困った
入門機やレンズによっては、ボディ内手ブレ補正(IBIS)が非搭載のものがあります。明るい屋外なら問題になりにくい一方、室内・夜・動画では手ブレが目立ち、「なんだかスマホのほうがきれいに見える」という後悔につながります。
回避策:室内で子どもを撮る、動画も撮る、夜景も撮りたい——ひとつでも当てはまるなら、ボディ内手ブレ補正の有無を必ず仕様表で確認する。非搭載機を選ぶ場合は、手ブレ補正付きのレンズと組み合わせる前提で予算を組みます。
私がサブ機で困っているのが、まさに手ブレ補正です。ZV-E10はボディ内手ブレ補正を積んでいません。室内で猫を撮る、同じく室内で子どもたちを撮る。この2つの場面で困るのは、写真ではなく動画のほうでした。
静止画は、シャッタースピードを上げる・脇を締めるといった対処が効くので問題になりませんでした。残るのは動画です。歩いたぶん、呼吸したぶんがそのまま記録に残ります。
しかも電子式の補正(アクティブモード)はONにしていました。レンズもOSS付きと非搭載の両方を使いましたが、ボディ内手ブレ補正のある機種と比べると、動きながらの撮影はやはり難しい。つまり困りごとの正体は「補正がゼロ」ではありません。電子式とレンズ側の補正を足しても、歩きながらの動画には足りなかった、という話です。
ボディ内手ブレ補正は、カタログを眺めている段階だと「あれば嬉しい機能」に見えます。ただ動画を撮るなら実質的な必須条件だと私は思っています。
落とし穴5|AF・連写不足で、動くわが子の撮影に後悔する
子どもやペット、スポーツを撮る人が見落としがちなのがAF(オートフォーカス)と連写の性能です。安価な機種や古い世代は、動く被写体でピントを外しやすく、「決定的瞬間がいつもブレている」という後悔になります。逆にここが強い機種は、運動会の一枚が別物になります。
回避策:動きものを撮るなら、被写体認識AF(瞳・動物・乗り物など)の有無と、秒あたりの連写コマ数を確認する。この用途で候補になるのは、AFが強い世代のAPS-C機です。実際の効き方はSONY α6700のレビューに書きました。
私がα6700を手放さない理由も、大きいのはAFです。撮れ高が安定すること。そして動物の瞳AFがよく食いつくこと。室内で飼い猫を撮ることが多いので、この差ははっきり体感できます。
運動会はTamron 18-300を1本つけて済ませています。連写は使いますが、高速連写までは要りませんでした。枚数が増えるとあとの選別が大変になるので、低速連写で足りています。
落とし穴6|結局スマホで十分だった|私も普段の記録は9割がスマホ
最も切実な後悔がこれです。最新のスマホは日中のスナップなら本当によく写るため、「わざわざ持ち出す理由」を自分の中で言語化できていないと、ミラーレスは出番を失います。カメラは、スマホに対する明確な優位(大きくボケる・望遠で寄れる・暗所に強い・撮って出しの色が好み)がある人ほど後悔しません。
回避策:「自分がスマホに一番不満な瞬間」を1つ挙げてから選ぶ。ボケが欲しいのか、望遠か、暗所か。そこが曖昧なら、いきなり大きなミラーレスは危険です。まず「スマホの一歩先」をコンパクト機で体験してから段階を上げるほうが、後悔もお金のロスも小さく済みます。
先に正直なことを書いておくと、私も普段の記録は9割がスマホです。カメラを出すのは、旅行と子どもの行事のような日だけ。だから「毎日持ち歩いて使い倒す」つもりで買うと、たいてい想定が外れます。
分かれ目は年に何回この1台を持ち出すかです。指を折って数えてみて、自分でも少ないと思うなら、スマホのままで困りません。この判断の続きはカメラを趣味として続ける条件のほうに書いています。
落とし穴7|新品で買い、中古で良かったと気づく|中古でも2回失敗した
カメラは1〜2世代前でも実用性能は十分なことが多く、「新品最新をフルセットで買ったが、型落ちや中古で良かった」という後悔は珍しくありません。特に初めての一台は、自分の撮り方が固まる前なので、高価な機材ほど「使いこなせないまま」になりがちです。
そもそも1〜2世代前でどのくらい戦えるのかは、ミラーレスの寿命は何年かで耐久回数から逆算しました。趣味のペースなら、型落ちを選んでも寿命が先に来ることはまずありません。
回避策:最初の一台は型落ちや中古も候補に入れて、浮いたぶんをレンズや予備バッテリーに回す。中古で狙える具体的な機種はミラーレスおすすめに挙げています。使い込んで不満点がはっきりしてから上位機へ乗り換えれば、下取りに出しても差額は小さく済みます。
ただし、中古には中古のリスクがあります。私は2回やらかしました。
1回目は初代SONY α7です。中古で買ったら、タバコの匂いが染み付いていました。写りには影響しません。ただ、手に取るたびに気になってしまい、使い続けることなく返品しました。
2回目は中古で買ったレンズです。買って3ヶ月ほどでカビが出ました。おそらく一度は除去された個体で、芯の部分が残っていたのだと思います。推測ではありますが、「カビ除去済み」は「もう生えない」という意味ではない、というのが私の受け止めです。
どちらも商品説明の文字情報だけでは防げません。写りに出ない部分——匂いや、それまでどう保管されてきたか——は、実物か店の目利きを通さないと分からないからです。
それ以来、中古は信頼できる店で買うと決めています。私が主に使っているのはマップカメラです。
理由は一つで、状態をどこまで書いてくれるかが違うからです。検品ランクの表記も、細かい難点も必ず書いてある。私がタバコの匂いで返品した頃には、しばらく「タバコの匂いがついているか」まで商品説明に書かれていたことがありました。他の中古ショップで、ここまで書いてくれるところを私は知りません。
中古で数万円浮かせるつもりが、匂いやカビで買い直しになれば本末転倒です。「安い個体を探す」より先に「状態をどこまで書く店か」を見ておくほうが、中古の後悔は減ります。
落とし穴8|メーカー(マウント)を乗り換えて、レンズ資産をまるごと失う後悔
これは、私自身がいくつものメーカーのマウントを乗り換えてきて、最も痛かった落とし穴です。マウントを変えるたびに手持ちのレンズは手放さざるを得ず、正直、何度も痛い思いをしてきました。カメラの「マウント」はメーカーごとに規格が違い、原則としてレンズを他社ボディへ流用できません。ボディを他社へ買い替えると、それまで揃えたレンズ資産が一気に使えなくなります。後悔の本丸はボディの値段ではなく、この乗り換えコストです。
ただ、乗り換えを繰り返す中で分かったことがあります。値落ちしにくいレンズを選んでおけば、マウントを変えてもレンズ資産はほとんど死なない、ということです。売却時の損は「少し」で済みます。人気の明るい単焦点や、評価の定まった定番レンズは中古相場が安定していて、買い替えのときも高く売れます。逆に、安さだけで選んだレンズや不人気のズームは値落ちが大きく、乗り換えのたびに損が膨らみます。
回避策:最初の一台を選ぶときは「ボディの性能」だけでなく、そのメーカーのレンズ群が自分の撮りたいものを長くカバーできるかを見る。そして将来メーカーを変える可能性が少しでもあるなら、最初から「売るときに値が残るレンズかどうか」を判断材料に入れます。これだけで、乗り換え時のレンズ資産の目減りを、痛手から「ちょっと損する程度」に抑えられます。
後悔しないための購入前チェックリスト
| 確認すること | 後悔しやすい人 | 後悔しにくい選び方 |
|---|---|---|
| 総額の上限 | ボディ価格だけで判断 | レンズ2本込みの上限を先に決める |
| 大きさ・重さ | 画質でフルサイズを即決 | 毎日持ち歩ける重さを優先 |
| バッテリー | 電池を足せない機種を選ぶ | USB給電(USB PD)対応なら電源1つで解決する |
| 手ブレ補正 | 仕様を見ずに入門機を購入 | 動画を撮るならボディ内手ブレ補正はほぼ必須と考える |
| AF・連写 | 動く子ども撮影を想定せず | 被写体認識AFと連写コマ数を確認 |
| スマホとの差 | 不満点が曖昧なまま購入 | スマホで困る瞬間を1つ言語化 |
| マウント(メーカー) | ボディ性能だけで決める | レンズ群が長く使える+値落ちしにくいレンズを選ぶ |
| 新品/中古 | 最安値の個体を探して買う | 型落ち・中古を候補に入れ、返品と保証が明示された店で買う |
もう買って後悔している人へ|今からできる3つのリカバリー
「もう買っちゃったんだけど」という人も、打つ手はあります。後悔の中身に応じて、打ち手は次の3つに分かれます。
- 手ブレ・暗所で不満→ ボディを買い替える前に、手ブレ補正付きの明るいレンズを1本足すだけで印象が大きく変わることがあります。
- 重くて持ち出さない→ 大きいレンズを軽い単焦点1本に入れ替える、あるいは普段用に高画質コンパクトを1台持つと、稼働率が戻ります。
- そもそも使わない→ 早めに下取りや買い替えに回すのが現実的な一手です。ボディは使わなくても値は下がっていくので、迷っている期間そのものが損になります。
よくある質問
ミラーレスで一番多い後悔は何ですか?
「性能不足」よりも「使わなくなった」「総額が膨らんだ」という想定不足の後悔が最も多いです。買う前に総額の上限と、持ち歩ける重さを決めておくだけで大半は防げます。
「ミラーレスはやめとけ」と言われるのはなぜ?
レンズを含めた総額が高くつくこと、バッテリーの持ちが一眼レフより短い傾向があること、そして日常用途ならスマホで足りる場面が増えたことが主な理由です。裏を返せば、これらを理解して選べば「やめとけ」は当てはまりません。
なお「やめとけ」は機種ではなくカメラを趣味にすること自体に向けられることもあります。その場合の理由は7つあり、私は6つを事実として認めています。詳しくはカメラ趣味はやめとけと言われる7つの理由に書きました。
「一眼レフとどちらがいいか」「初心者は何を買えばいいか」は、ミラーレスおすすめのFAQに機種名つきでまとめてあります。この記事は買ったあとに後悔しないための一枚なので、機種選びはそちらへ。
まとめ|後悔の正体は「スペック不足」ではなく「想定不足」
ミラーレスの後悔は、そのほとんどが買う前の想定でほどけます。総額の天井を決める、毎日持てる重さを選ぶ、バッテリーと手ブレ補正を確認する、レンズ群が長く使えるメーカーを選ぶ、そしてスマホに対する自分の不満を1つ言葉にする。これだけで、防湿庫の肥やしになる未来はかなり避けられます。
軽さ重視でまず一歩先を試すなら高画質コンパクトカメラの実機比較、動きものまで本気で撮るならAFの強いAPS-C機(SONY α6700)のレビューを合わせてどうぞ。そして撮ったあとは、フォトブックで形にするところまで考えておくと、「撮ったのに見返さない」というもうひとつの後悔も防げます。
