フルサイズとAPS-C、どっちを選ぶべきか。カメラ選びで最初にぶつかる分かれ道です。
私はフルサイズのEOS RPとEOS R6を使い、今はAPS-CのSONY α6700を使っています。その前もメーカーやマウントを何度も変えてきました。
そのうえで正直に書くと、「フルサイズでなければ撮れなかった」という場面は、私には一度もありませんでした。プリントしたときにセンサーサイズの差を感じたこともありません。
家族・旅行・子どもの行事・猫を撮る私には、α6700が合っています。ただし、同じ被写体でも暗さや動き、使うレンズで必要な性能は変わります。私の使用感と、機材を比べる際の条件を分けて説明します。
目次
結論:どっちを選ぶかを分ける条件
私の撮り方なら、APS-Cを候補にして、使いたいレンズと合わせて選びます。暗所の画質や大きなボケを重視するなら、フルサイズも比べたいところです。最初に見るのは次の3点です。
- 暗い場所で撮るか:必要なシャッター速度で撮った写真のノイズを確認する。センサーサイズだけでなく、レンズの明るさや機種も影響する。
- 背景をどれくらいぼかしたいか:同じ画角・撮影距離・F値なら、フルサイズのほうが大きくぼかしやすい。APS-Cでも明るいレンズを選ぶ方法がある。
- 持ち歩ける重さと予算か:使いたいレンズを付けた状態で比べる。フルサイズにも軽いボディやレンズがある。
私自身は、これまでの撮影で「APS-Cでは無理だった」と言える場面に当たっていません。それでも、私と同じ被写体だから画質の要求まで同じとは限りません。室内の暗さや被写体の動き、写真をどれくらい大きく見たいかも考えてみてください。
すでにカメラを持っているなら、うまく撮れなかった写真を見直すと選びやすくなります。暗所のノイズが気になるのか、ピントが追いつかないのか。原因によって、レンズや設定で対応できることと、ボディを替えたい理由が分かれます。
フルサイズとAPS-Cの違いを6項目で比較(画質・ボケ・重さ)
まず事実の確認から。フルサイズは35mmフィルムと同じ36mm×24mm、APS-Cはメーカーによって約23.5mm×15.6mm(SONY・Nikon・FUJIFILM)または約22.3mm×14.9mm(Canon)です。APS-Cは規格の呼び名で実寸に機種差があり、たとえばα6700の公表値は23.3mm×15.5mmです。
| 項目 | フルサイズ | APS-C |
|---|---|---|
| センサー実寸 | 36×24mm(864mm²) | 約23.5×15.6mm(約367mm²) |
| 受光面積の比 | 1 | 約2.4分の1(Canonは約2.6分の1) |
| 画角 | 35mm判換算の基準 | 同じ焦点距離では写る範囲が狭い。35mm判換算で約1.5倍相当(Canonは約1.6倍) |
| ボケ量 | 同じ画角・距離・F値なら大きくしやすい | 控えめ。明るいレンズで補える |
| 高感度(画質のノイズ面) | 同程度の技術・同じ露出条件なら有利になりやすい | 機種と撮影条件をそろえて比較する |
| 本体・レンズ | レンズを含む組み合わせによる | 小さく軽い組み合わせを選びやすい |
センサー全体の面積は、上の代表寸法では約2.4倍違います。ただし面積比だけから個々のカメラの画質差は決まりません。センサーの世代、露出、画像処理、出力サイズなどの条件も合わせて比べる必要があります。
APS-Cを選ぶ判断を分けた3つの基準

基準1:家族と持ち歩ける重さかを考える
家族や旅行の写真を撮る私にとっては、レンズを含めた持ち歩きやすさも大切です。画質だけで決めず、普段の荷物と一緒に持てるかを考えます。
どれだけ高性能でも、使いたい日に持ち出せなければ撮影には使えません。これはフルサイズの欠点と決めつける話ではなく、自分が持つ組み合わせで確認したい点です。
基準2:ボディ単体ではなく「システム全体」で比べる
比較したいのは、使うレンズを付けた状態です。私が使っているのはSigma 18-50mm F2.8 DC DNと、運動会などで使うTamron 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD。どちらもソニーEマウントのAPS-C向けレンズです。
APS-C専用レンズで軽く組めることは、私がα6700を使う理由の一つです。ただしフルサイズ側にも小さなレンズがあるので、規格だけで重さを決めないほうがよいと思います。
実際に公表値で並べてみると、思っていたのと違う結果になりました。ボディ単体では、フルサイズのEOS RPのほうが軽いのです。
重量の出典:α6700、EOS RP、Sigma 18-50mm、Tamron 18-300mm、RF24-105mm、RF24-70mm。
| 組み合わせ | 内訳 | 合計 |
|---|---|---|
| EOS RP ボディのみ | 485g | 485g |
| α6700 ボディのみ | 493g | 493g |
| α6700+Sigma 18-50mm F2.8 | 493+290g | 783g |
| EOS RP+RF24-105mm F4-7.1 | 485+395g | 880g |
| EOS RP+RF24-70mm F2.8L | 485+900g | 1,385g |
| α6700+Tamron 18-300mm | 493+620g | 1,113g |
質量はメーカー公表値で、ボディはバッテリーとカードを含みます。レンズにはマウント別の重量差があるため、SigmaとTamronはソニーEマウント用の値です。表のレンズは焦点距離の範囲や性能が異なり、同じ写りを得るための厳密な比較ではありません。
この例でF2.8通しの標準ズームを付けると、α6700+Sigmaは783g、EOS RP+RF24-70mmは1,385gで、差は602gです。ただし画角はそれぞれ約27〜75mm相当と24〜70mmで、同じF2.8でもボケ量の条件はそろいません。重量差だけで性能の優劣は決められません。
RF24-105mm F4-7.1を選んだ例ではEOS RPとの合計が880gとなり、α6700+Sigmaとの差は97gです。レンズが変われば明るさや撮れる範囲も変わります。必要な画角・F値を決めてから、候補の合計重量を比べると判断しやすくなります。
基準3:私の目安はAPS-CでISO3200まで
私が自分の基準にしているのは、APS-CならISO3200まで、マイクロフォーサーズならISO1600までです。これは私の目安で、機種全体に共通する画質の上限ではありません。
これは私の写真の見方に合わせた目安で、ISO3200を超えたらフルサイズが必要になるという境界ではありません。高感度で撮る頻度だけでなく、その場面が自分にとってどれほど大切か、実際の仕上がりに不満があるかを考えます。
プリントの画質は、画素数・レンズ・撮り方も関係する

私は撮った写真をプリントやフォトブックにしてきました。その範囲では、仕上がりを見てセンサーサイズの差を感じたことはありません。ただし、同じ条件で全機種を比較した試験ではありません。
ここからは、その感想とは分けて、画像の画素数と印刷サイズの関係を見ます。画素数が足りていても、ピントやブレ、レンズ、画像処理によって細部の見え方は変わります。
画素数:プリントサイズから必要量は計算できる
画像を1インチに300画素で配置する300ppiを例に計算すると、次の画素数になります(1インチ=25.4mm)。プリンターのインクのドット数を表すdpiとは区別します。以下は画像の寸法の目安で、画質を保証する値や各社共通の最低条件ではありません。
| プリントサイズ | 300ppiに必要な画素数 | 200ppi相当なら |
|---|---|---|
| L判(89×127mm) | 約158万画素 | 約70万画素 |
| 2L判(127×178mm) | 約315万画素 | 約140万画素 |
| A4(210×297mm) | 約870万画素 | 約387万画素 |
| A3(297×420mm) | 約1740万画素 | 約773万画素 |
| A2(420×594mm) | 約3480万画素 | 約1547万画素 |
プリントサイズ別の画素数表は、用紙の縦横比に合う画像を配置する場合です。たとえば3:2の写真をA3の全面に印刷するなら、一部を切り取ることになります。実際に残る縦横の画素数を確認してください。写真を見る距離や用紙によっても、必要と感じる細かさは変わります。
同じ画素数でも、仕上がりまで同じとは限らない
α6700とEOS RPはセンサーサイズが違っても、記録画像の画素数は近い値です。出力する画像の縦横サイズはほぼ同程度になりますが、レンズや撮影条件まで同じになるわけではありません。「画素数が同じなら、紙にした画質も同じ」とは言えません。
フルサイズだから必ず高画素とは限りません。大きく印刷したい場合は、候補機種の記録画像の縦横画素数も確認します。
同程度の技術・同じ画角・同じシャッター速度とF値で撮り、同じ大きさで見る場合、センサー全体で受ける光が多いフルサイズはノイズ面で有利になりやすくなります。ただし画素ピッチだけから機種間の差は決まりません。低ISOでも他の条件による差はあり、「明るければ差が出ない」とは言えません。
印刷品質:同じデータでも仕上がりは業者で変わる
印刷側の条件も変わります。私の選び方では、日常のプリントはしまうま、仕上がりの好みではアオヤギ、大判ではカメラのキタムラが候補です。これは個人的な使い分けで、同条件の画質ランキングではありません。
仕上がりは、使う用紙やプリントサービスでも変わります。すでに持っているカメラでどう残せるかを考えるなら、同じ写真を別の用紙やサービスで出してみる方法もあります。ネットプリントの比較と大判写真プリントの比較も参考にしてください。
フルサイズ換算とは?APS-Cで1.5倍になる理由とレンズの互換性
焦点距離と画角は別です。約1.5倍換算のAPS-Cでは、50mmのレンズは焦点距離50mmのまま、フルサイズの75mmに相当する狭い範囲が写ります。CanonのAPS-Cは約1.6倍が目安です。
レンズが使えるかは、マウントと機種の対応を確認します。フルサイズ用レンズをAPS-Cに付けても、組み合わせ次第では軽く持ち歩けます。反対にフルサイズへAPS-C用レンズを付ける場合、クロップ撮影になって記録画素数が減る機種があります。設定や制限は各メーカーの対応表で確認してください。
私のα6700とTamron 18-300mmの組み合わせは、35mm判換算で27〜450mm相当の画角をカバーします。運動会など、遠くの被写体を撮るときに使っています。望遠の細部がどこまで写るかは、画素数やレンズの性能にも左右されます。
マウントを変えるとき、損を最小にする考え方
後でフルサイズへ移りたくなった場合、レンズをそのまま使えるかも気になるところです。私はメーカーやマウントを何度も変え、そのたびにレンズを売って損をしてきました。
乗り換える前には、新しいボディの価格に加えて、必要なレンズやアクセサリーの費用も見ます。今の機材の売却見積もりを引けば、手元からいくら出るのかを比べられます。人気のレンズでも将来の売却額は保証されません。
レンズを選ぶ際は、将来の売却額だけでなく、今の撮影で何が必要かも判断材料になります。売却を決めた場合の選択肢はカメラ買取サイトの比較に載せています。
身軽さを優先するなら、ほかの規格も候補になる
私が使ってきたカメラには、マイクロフォーサーズや1型コンデジもあります。レンズを付けた状態の大きさや、持ち歩き方から比べると、APS-Cとフルサイズ以外に合う機材が見つかることもあります。LUMIX G99のレビューやコンデジの比較も参照してください。
タイプ別・フルサイズとAPS-Cのどっちを選ぶか
| 優先したいこと | 比較の出発点 | 理由 |
|---|---|---|
| レンズ込みの軽さと予算を優先 | APS-Cの軽い組み合わせ | 実際に使いたいレンズ込みで比べる |
| 家族・旅行での持ち歩きやすさ | APS-Cの軽い組み合わせ | レンズ込みで持ち歩きやすい組み合わせを探す |
| 遠くの被写体を軽い機材で撮りたい | APS-Cと望遠レンズ | 画角が狭くなる。AF・連写・記録画素数も機種別に確認 |
| 室内スポーツ・夜景・星空での高感度画質 | フルサイズも比較 | 高感度画質と必要なシャッター速度を機種・レンズで比較 |
| ポートレートで背景を大きくぼかす | フルサイズも比較 | 同じ画角・距離・F値なら大きくぼかしやすい |
| とにかく身軽に、毎日持ちたい | コンデジも候補 | ポケットに入ることが最優先の条件になる |
表でフルサイズも比較するのは、暗所の画質やボケを重視する場合の候補です。被写体名だけで最適な規格は決まりません。私がα6700を選んだ理由はSony α6700のレビューに、フルサイズの使用感はEOS RPのレビューに書いています。機種を比べたい場合はミラーレスカメラの比較をご覧ください。
よくある質問
フルサイズとAPS-C、初心者はどっちを選ぶべきですか?
軽さやレンズ込みの予算を重視するなら、APS-Cは候補になります。暗所の画質や大きなボケを重視するならフルサイズも比べてください。初心者かどうかより、撮りたいものと持ち歩ける組み合わせで選ぶほうが判断しやすくなります。
APS-Cにフルサイズ用のレンズは使えますか?
使える組み合わせはありますが、機種とレンズの対応確認が必要です。APS-Cでは同じ焦点距離でも写る範囲が狭くなります。レンズの大きさや重さは製品ごとに異なるので、フルサイズ用を付けると必ず重くなるわけではありません。
フルサイズにAPS-C用レンズを付けるとどうなりますか?
対応機種ではAPS-Cサイズにクロップされ、記録画素数が減る場合があります。装着の可否、クロップ設定、AFなどの制限は、ボディとレンズの型番で公式の対応表を確認してください。
センサーが大きいほど暗所に強いのはなぜですか?
同程度の技術で、同じ画角・シャッター速度・F値で撮って同じ大きさで見る場合、センサー全体で受ける光が多いほどノイズ面で有利になりやすいためです。ただし、レンズやセンサー世代、画像処理の差もあり、サイズだけで個々の機種の優劣は決まりません。
APS-CでもA3プリントに耐えられますか?
APS-CでもA3プリントはできます。A3を300ppiで配置する画像は約3,508×4,961ピクセルが計算上の目安です。ただし、切り抜き後の縦横画素数、ピント、ブレ、印刷方法によって仕上がりは変わります。カメラの総画素数だけで判断せず、実際に注文する画像で確認してください。
プリントするならフルサイズのほうがきれいですか?
私の撮影・プリントの範囲では、センサーサイズによる差を感じたことはありません。ただし、同じ条件で全機種を比べた結果ではなく、すべての写真で差が出ないという意味ではありません。使うレンズ、露出、現像、用紙も仕上がりに関係します。
後からフルサイズに移りたくなったら、買い直しになりますか?
レンズの対応によります。同じマウントでも、APS-C用レンズをフルサイズ機で使うとクロップ撮影になるなどの制限があります。新しいボディだけでなく、必要なレンズの費用も見積もって判断してください。売却でいくら戻るかは、その時点の査定によります。
撮ったあとの話:写真をどう残すか
機材が決まったら、撮った写真をどう残すかも考えてみてください。私にはプリントやフォトブックで見返す楽しみがあります。フォトブックの比較では、サービスの選び方を紹介しています。
